6-8月の進捗

 

進捗

インターン(選考有り)1社。選考付きインターンの経験を積むことができたので、夏の最低限のノルマは達成したといえるだろうか。

ただ、インターン選考は学会と重なり少なからぬ数「時間が足りなくてドロップアウト」という状況に追い込まれた。毎週決まった数の授業とだいたい同じくらいの数の課題をこなす学部生と違い、時間の融通は効くか学会前などの「繁忙期」には身動き一つとれないという院生特有の難しさに直面した

 

研究

①中規模研究会(大学研究科主催で、外部にも公開しているもの)1
②学会発表(査読付き)1
この2つは同じネタ。成果は査読に出したので、年末までには公表決定にこぎつけたい。

③国際学会(査読付き)アクセプト1
これは別のネタ。なお共著。

 

学部生の時にやったことをやり直すつもりでいわゆる「外資っぽい外資」と「外資っぽいベンチャー」を考えていた。選考時期の開始が早いので、早くから「動ける」ことも魅力だと思っていた。しかし、院生にとって「半日かけてケース面接に参加して、一週間かけてインターンに参加する」ことの負担の大きさに今更ながら気づいた(気づいているつもりだったのだが)。学会と重なったのは不運といえば不運だったが、これからも学会はあり、査読結果に対応せねばならない。

少し方向性を修正すべきなのだろう、という気がしている。

 

 

5月の進捗

5月、やっとすることができてきた感じ。一方、学会が近づいたりと、あらためて二正面作戦の難しさに直面する。

 

進捗

①合同説明会に行く

 この時期の合同説明会なので、まだあまり具体的な話はなかった。それにしても、5年前にはあんなにも大人びて見えた人事担当の人たちが、今見るとまるで子どもに話しかける小学校の先生のように見えることに驚く。とりあえずその場でエントリーできるところにはエントリーして撤退。
 それにしても、一度の説明会で3時間近く時間を使うのは、学会報告ペーパー締め切り前ということもあってかなり厳しかった。あまり「とりあえず説明会にはいっておく」という作戦は使えそうにない。

 

TOEICを受ける

 学会報告ペーパーを書き上げた直後に文字通り対策できないまま突入。しゃれにならないスコアを取った可能性がある。夏からの本選好までにはスコアを準備しておきたい。
 院生たるもの本当ならTOEFLかIELTSを受けるべきところだが、難しくていやだし就活ポータルサイトなどを見る限り、まだTOEIC優勢はゆらいでいないように見える。IELTSは記入できないという例もちらほら。

 

研究

①プロポーザルが通っていた国内学会に報告論文を提出。

②海外学会に応募。こちらは共著で、通れば夏は学会行き。

塾講師になりたいか

 最近まで働いていた塾の人たちと夕飯を食べていたときに、「研究者やめるんなら、うち来ない?」と誘われた。ありがたいことだし、嬉しいし、知った人たちの多い職場は魅力的だ。しかし、今のところは、塾講師にはなりたいと思わない。というのも、塾講師という仕事が、まさしく研究者という仕事とよく似た困難を抱えているように思われるのだ。

(1)給与の低さ
 誘ってくれた元バイト先は、創立10年弱、本部校舎と、近くの特急停車駅前に特進教室を開設している。ローカル塾としては、まずまず軌道に乗っていそうに見えた。
 しかしそれで自分が食っていけるかは別問題だ。基本的に講師は非常勤、時給は3000円で、まあまあ良かった。1日に最大5コマやったこともあるが、毎日5コマ授業が回ってくるとは思えない。仮に週20としても*1月収24万円、ボーナス無し、手当無し。かつ致命的なことに、昇給の見込みがない*2
 これはきつい。

(2)転職市場での弱さ:潰しが効かない
 給料が低いだけなら慎ましやかに暮らせばいいのだが、もう一つ、塾講師にはスキルが特殊過ぎて転職しにくいという欠点がある。
仮に正社員または役員になれたとしよう。しかしあくまで中小企業、しかも入試制度が大きく変化しかねない今、勤め先が倒れることは覚悟しておかねばならない。そのとき、塾講師という仕事は転職の幅をかなり狭めかねない。
 どういうことか。いわゆる文系総合職と呼ばれる仕事の内容には、かなりの互換性がある。ある程度の歳までならかなり転職の自由が効くし、ある程度の経験を積んでからでも同じ業界内でなら移動はできる。
 ところがである。塾講師というのはかなり特殊な仕事である。潰しが効かない。途中で挫折すると、身動きがとれなくなる。

⑶競争の激しさ
 それでも勝ち抜けるだけの講師としての腕が自分にあるのなら、塾講師もまた魅力的だろう。しかししょせんはアルバイト講師であった自分にその技量も、熱意もないのである。

 

 そして何より、ここまで話してきた欠点、①給与の低さ、②潰しが効かないリスク、③競争とはまさしく、研究者という職業の欠点ー30歳手前までせいぜい月収額面20万円しか望めず、ポスドクを終えてテニュアに乗れなければ転職市場では冷遇され、それでも勝ち残るために競争し続ければ生活を際限なく破壊されるーと瓜二つなのだ。

 裏を返すと、ある時期まで予備校講師が大学院生の第二の進路として愛された理由も、このあたりにあるように思われる。つまり、研究者と、どこか似ているのである。似ているからこそドロップアウトしたものにとっては乗り換えやすいのだろうが、そもそも研究者という生き方に疑問を覚えたものにとって、「普通の会社員」になる最後のチャンスをかけてまで*3つきたい仕事では、ない。

 

 

 

*1:経験者なら分かるとおもうが、塾講師を週20コマは、相当激務である

*2:もっとも、月収24万円ボーナス手当なし昇給見込みなしは、月収20万円ボーナス手当なし昇給制度上不可能の日本学術振興会特別研究員よりも好待遇である。

*3:いったん企業に就職してからとかなら、と思わないといえばうそになる。

4月の進捗

お礼

先日、レビュー記事で紹介させていただいた「文系大学院と進路について」様に、リプライをいただきました。勝手に紹介させていただいたにもかかわらず、お返事をいただきありがとうございます。

 

jinbungakuinsei.livedoor.blog

mmawari.hatenablog.com

 

進捗

 4月。特に具体的動きはなし。

 とりあえず学部生の頃の記憶を頼りに、就活ポータルサイトのアカウントを作る。この時期だと流石にまだ具体的に動けることはない。就活イベントも多くは首都圏開催で、首都圏在住ではない自分にはあまり縁がない。とりあえずいくつか資格試験の対策を始めた。

 ただし、関西開催のあるイベントについては電話で勧誘が来た。片っ端からしてる電話なのかもしれないが*1少なくとも「文系博士には案内もしない」というほど排除されてはいないらしい。第一関門は突破、だろうか。

 

 研究の方は、予定よりはかなり遅れ気味だが、破綻しない程度には進む。

*1:もっとも、わざわざ電話をかけるコストを考えれば、「この案内はセレクティブにお送りしています」という売り文句も、全くのリップサービスではないのかもしれない。

投稿者の置かれた状況ーこのブログの説明に代えて

このブログの投稿者は博士後期課程の大学院生である。色々あって、アカデミックキャリアではない就職をしようと考えた。少し詳しい状況を記すなら、

・博士後期課程2年
・社会科学系
・学年相応の年齢
・某旧帝国大学学部→某旧帝国大学大学院

という状況である。

 

このブログはその就職に至る過程、および、その就職のために投稿者が収集した情報等を記す場である。ここに書かれる内容は本当かもしれないし、作り話かもしれない。リアルタイムかもしれないし、回顧録かもしれない。投稿者は1人かもしれないし、複数人かもしれない。
しかし、文系博士後期課程からの就職に関する情報は少なく*1、こんな情報でも何かの役に立つのではないかと思う。

*1: 

博士後期からのアカデミア離脱を扱った記事のまとめ - Dから始める撤退戦

に紹介した記事も、日本語のものに関する限り、理系博士or文系修士を想定したものが大半を占める。数少ない例外は西原氏によるものである。

博士後期からのアカデミア離脱を扱った記事のまとめ

大学院(特に文系/博士後期課程)まで来てからの一般就活について扱った記事のまとめ。随時更新予定。

 

総論系

西原史暁(2018)「学究の生活を終へた博士を社会は如何に遇したであらうか」(2019 4/14追加)

http://id.fnshr.info/2018/10/28/guushita/

公開シンポジウム「博士キャリアの可能性」の原稿。筆者の博士院生の就職状況に関する総論にはじまり、文系博士(博士課程指導認定退学)としての筆者自身の就職体験談が語られている。文系博士就活について何かを考えたなら、はじめに読むべきテクストの一つと言えよう。

Philipp Kruger (2018) Why it is not a ‘failure’ to leave academia. Nature 560, 133-134 doi: 10.1038/d41586-018-05838-y
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05838-y
Natureの記事。アメリカのPh.D向け。原則論中心で、日本で即役に立つ内容ではないけど、アメリカのPh.Dでも、"if you leave academia, your mum will think that you’ve wasted your time doing a PhD"って悩んだり傷ついたりするんだ、と思うだけで心の支えになる、かもしれない。

博士世界 第5号「進路・就職」(2019 4/7追加)
https://hakasesekai.jimdo.com/%E9%9B%91%E8%AA%8C-%E9%9B%BB%E5%AD%90%E7%89%88/
基礎的な記述統計と総論的な話で、これを読んではっとするというようなことではないが、そもそもこういった情報をまとめてくれている媒体自体が希少。

個人の体験談系

西原史暁(2013)「文系博士後期課程院生の就活」(2019 4/7追加)
http://id.fnshr.info/2013/03/31/doc-jobs/ 
文系博士課程院生の就活体験記という分野において、最も参照されている記事の一つだと思う(こう言ってよければ、canonical)。筆者自身の就活経緯、何を基準に受ける先を選んだか、どう情報収集したか、何を訊かれたか、何に注意したかなどが、かなり一般化可能な(おそらくは理系にもかなり適用可能な)形でまとめられている。
なお、3年後にふり返った続編がある。

『文系大学院と進路について』(2019 4/7追加)
http://jinbungakuinsei.livedoor.blog
文系修士からの就職体験記をはじめ、進路選択と大学院について書かれたブログ。ブログ1つかけて大学院卒就活について書かれているものは比較的珍しいと思う。

『何かを書くところ』(2019 4/7追加)
https://matsumoyu.hatenablog.jp
「文系修士の就活について①-③」が秀逸。就活で気をつけた方に加え、就活としてみたアカデミックキャリア、といった記事もある。そういえばぼくらって就活生が会社について受ける説明の10分の1の説明も受けずに大学院来てますよね。怖っ

「流行りに乗って文系院生就活記事を書いてみる」(2019 4/7追加)
https://ameblo.jp/lusciouscitrus0509/entry-12451526824.html
文系修士からの就活体験記。博士課程に進学せず就職する決心するまでの記述多め。なかなか決断できないし、後ろめたさ感じますよね。

「結局の所、博士課程院生(文系)の民間企業就職って、そんなにいいも」はてな匿名ダイアリー
https://anond.hatelabo.jp/20181108002853
就職した後の話って割と珍しいと思う。しかも最後の最後に「アカデミア最高」って言いきる例となるとさらに珍しいと思う。就職できなきゃ仕方ないけど、してから破綻しても仕方ないっていう例。

 

2019 4/7 記事をいろいろ追加+見出しをつけた
2019 4/14 記事を追加